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ニューヨーク州、3Dプリンターへの銃器検出義務化を提案:セキュリティとプライバシーの懸念

1分で読めますソース: Schneier on Security

ニューヨーク州が2026-2027年度予算案に3Dプリンターへの「ブロッキング技術」義務化を盛り込み。技術的課題やプライバシー侵害のリスク、専門家の批判を解説。

ニューヨーク州、3Dプリンターへの銃器検出義務化を提案:セキュリティとプライバシーの懸念

ニューヨーク州の議員は、2026-2027年度行政予算案(S.9005 / A.10005)に物議を醸す条項を盛り込んだ。この条項は、州内で販売または配送されるすべての3Dプリンターに「ブロッキング技術」の搭載を義務付けるものだ。法案のPart Cに記載されたこの要求は、メーカーに対し、「銃器設計検出アルゴリズム」を用いてすべてのプリントファイルをスキャンし、銃器または銃器部品と判定された設計をブロックするソフトウェアまたはファームウェアの統合を強制する。

技術的および政策的影響

この法案は、3Dプリンティング技術を利用した違法な銃器製造を抑制するための広範な取り組みを反映している。しかし、サイバーセキュリティの専門家やデジタル権利の擁護者は、このアプローチが技術的に欠陥があり、法的に問題があると主張している。

  • 検出の課題:銃器部品は、プリントファイル内で改変、分割、難読化される可能性があり、信頼性の高い検出は困難だ。**デジタル著作権管理(DRM)**の類似の試みは、回避技術により歴史的に失敗している。
  • 誤検出/見逃し:検出アルゴリズムは、正当な物体(例:機械部品、工具)を誤って検出したり、改変された銃器設計を見逃す可能性があり、意図しない結果を招く恐れがある。
  • プライバシーリスク:プリントファイルのリアルタイムスキャンを義務付けることは、ユーザー監視、データ収集、および機密性の高い知的財産の悪用可能性に関する懸念を引き起こす。
  • 汎用コンピューティングの制限:サイバーセキュリティの専門家ブルース・シュナイアーやデジタル権利の擁護者コリイ・ドクトロウが指摘するように、3Dプリンターのような汎用コンピューティングツールを特定の用途で制限しようとする試みは、技術的な回避策により一貫して失敗している。

メイカー、教育者、メーカーへの影響

この条項は、以下のような広範な影響を及ぼす可能性がある:

  • ホビイストとメイカー非銃器物体(例:カスタムツール、プロトタイプ)の印刷に対する制限が、イノベーションを阻害する恐れがある。
  • 教育者:STEMプログラムで3Dプリンターを使用する学校や大学は、プリントファイルへのアクセスや変更に不必要な障壁に直面する可能性がある。
  • 中小メーカー:コンプライアンスコストや潜在的な法的責任が、中小企業に不釣り合いな影響を与える恐れがある。

専門家の批判と歴史的前例

批評家は、この提案が以下のような失敗したDRM戦略を踏襲していると指摘している:

  • プリンターの追跡ドット:2018年、コリイ・ドクトロウは、プリンター出力に含まれる黄色の追跡ドットが監視を可能にする仕組みを指摘した。これはハードウェアに組み込まれた監視の前例となる。
  • 汎用コンピューティングの制限:ドクトロウは、2011年のChaos Communication Congress(28C3)での講演で、コンピューティングデバイスを制限しようとする立法の行き過ぎに警鐘を鳴らした。この懸念は、今回の3Dプリンター提案にも当てはまる。

次のステップと推奨事項

セキュリティ専門家や業界関係者は以下の対応を検討すべきだ:

  1. 立法の動向を監視:ニューヨーク州議会でのS.9005 / A.10005の修正案を追跡する。
  2. 技術的実現可能性を評価銃器検出アルゴリズムが、過度な誤検出やプライバシーリスクなしに効果的に実装可能かを検証する。
  3. パブリックコメントに参加監視技術の義務化ではなく、教育、執行、または自主的ガイドラインなどの代替案を提唱する。
  4. コンプライアンスの課題に備える:法案が可決された場合の法的および運用上の影響をメーカーとユーザーが評価する。

3Dプリント銃器の削減という政策目標は理解できるが、提案された解決策は技術的、倫理的、法的な重大な懸念を引き起こしており、さらなる精査が必要だ。

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